外壁塗装は10年に1度といわれる理由や必要性とは?塗り替えのタイミングや目安も解説
ネットなどを見てみると「外壁塗装は10年が目安」と書かれているサイトがよく見られます。外壁塗装を10年に一回のペースで行わないといけないのには理由があります。本記事では、外壁塗装を10年ごとに行うべき理由、塗装すべき症状のチェックリスト、外壁塗装の寿命を延ばすコツなどについて紹介するので参考にしてください。
外壁塗装は10年ごとが目安といわれる理由とは?
外壁塗装のタイミングとして好ましいのは10年と指摘されますが、それには理由があります。まずなぜ外壁塗装を10年目安で塗りなおさないといけないのかについてまずは理解しましょう。
10年後に外壁塗装を行う人は多い
ネット上に「前回の外壁塗装から何年置いて行ったか?」というアンケート調査が出ていました。その中で最も多かったのが10~12年で、全体のおよそ25%を占めました。次いで多かったのが13~15年の18%程度でした。この2つを合わせて10~15年で外壁塗装を行っている人が全体の43~44%を占めています。実際半数弱の人が、10~15年の間に外壁塗装を行っているわけです。このため、「外壁塗装を行うのは10年後程度がおすすめ」といわれる一つの根拠になっています。
塗料の耐用年数が10年前後のものが多いから
外壁塗装で用いられる塗料には寿命があります。塗り替え工事の際でポピュラーな塗料といわれているのがシリコン塗料です。シリコン塗料の場合、一般的に言われている寿命は10年です。
10年経過するとシリコン塗料の機能が切れてしまうタイミングなので、塗りなおしたほうがいいといわれるのです。しかし塗料の中にはフッ素や無機などの耐久性に優れた塗料もあります。これらの塗料を使っている場合、10年はまだ塗装すべきタイミングとは言えないので注意しましょう。
参考: 外壁塗装は何年ごとがベストタイミング?10年目安はまだ必要ない?
住宅メーカーの点検のタイミングだから
住宅メーカーを見てみると、設備保証や点検保証を設けている場合も少なくありません。この点検の時期ですが築10年目や20年目など、切りのいいタイミングで行われることが多くなっています。そして現地調査したスタッフが、「外壁塗装もそろそろやったほうがいいですよ」という話をすることが多いのです。このため、外壁塗装は10年に1回のペースで行う家庭が多くなります。
必ずしも10年になるとは限らない
外壁塗装を10年に1度のペースで行うべきというのは、あくまでも目安です。住宅によってはタイミングが早くなったり、先に延びたりすることもあります。まず地域によって外壁塗装を行うべき時期は異なります。以下で紹介する地域に住んでいる人の場合、外壁塗装は10年よりも前に行わないといけなくなるかもしれません。
まず周りが田んぼや畑などで、建物が一切ないぽつんと建物が建っている場合です。この場合、紫外線や雨風がダイレクトに外壁に当たってしまいます。紫外線も雨風も外壁塗装の劣化要因になります。周りに遮るものがなければ、外壁塗装の劣化のペースも進みやすいのです。また川や池の近くに住宅がある場合も注意が必要です。川や池が近くにあると、藻やコケが外壁に発生しやすくなります。藻やコケが発生すると外壁の劣化を進めるので、早めに外壁塗装をする必要が出てくるわけです。
沿岸部も外壁の劣化スピードが速いので注意しなければなりません。海に近いということは潮風が吹きやすくなっています。塩分は外壁の劣化を進めてしまうので、早めに塗り替えを行わないといけません。
工場地帯に立地している建物も10年よりも前に外壁塗装をしなければならない可能性があります。どのようなものを生産・製造しているかによって影響は違ってきますが、頭に入れておくといいでしょう。
10年を超えて外壁塗装しないで放置するリスクとは?
外壁塗装は一般的には10年に一回のペースで行ったほうが好ましいといわれています。もし10年以上経過しても適切に塗装しなければ、いろいろなデメリットがあります。どのような不都合が生じるかについて以下にまとめました。
- 雨漏り発生
- シロアリ発生
- 住宅の弱体化
雨漏り発生
外壁塗装というとただ単に見た目を美しくするためだけのものと思っている人も多いようですが、それは間違いです。外壁塗装には見た目の美しさを維持するほかにも、外壁を保護する役割があります。塗料を塗ると塗膜が構成され、紫外線や雨風から建物を守ります。しかし年月の経過とともに塗膜が劣化して、本来の保護機能を十分に発揮できなくなります。
塗膜には防水性もあります。しかし塗膜が劣化してもそのまま放置していると、防水性も低下し、建物内部への雨水の侵入も許しやすくなります。すると雨漏りの発生する可能性が高まります。雨水が外壁にしみこむことで腐食が進み、建物の強度も劣化しかねません。
シロアリ発生
外壁塗装を長期間やらずに放置していると、コーキングも劣化してしまいます。コーキングが劣化すると、ここからシロアリが建物内部に侵入してしまう恐れがあります。シロアリは木材が好物なのはご存じの方も多いでしょう。その結果、知らない間に土台がボロボロになってしまう恐れもあります。さらに放置しているとさらにシロアリの侵入範囲が広がってしまい、押し入れや台所などもボロボロになる恐れがあります。
シロアリを業者にお願いして駆除するためには10万円程度かかります。もしシロアリに食い荒らされている場合には、その個所の修繕も必要でしょう。結果的に外壁塗装プラスアルファの費用がかさんでしまうわけです。
住宅の弱体化
外壁塗装をおろそかにすると、結果的には住宅の弱体化を進める形になります。先ほども紹介したようにシロアリによって土台がボロボロにされます。さらに雨漏りによって建物の建材が腐ってしまうこともあります。その結果、住宅が傾いたり最悪倒壊したりする危険性も出てきます。さらに大きな地震や台風の被害によって、住宅が大きなダメージを受けることもあり得ます。
もし家が傾いてしまったら、速やかに修繕する必要があります。もし傾きが軽度の状況なら、対象の柱の補強や交換など施工も限定的なものになるでしょう。しかし建物が全体的に傾いてしまっているのであれば、改築を行わないといけません。部分的なリフォームでも100万円程度かかる可能性があります。それが全面的な改築が必要になると500万円くらいかかることも考えられます。外壁塗装をしないことで、大きな費用を負担しなければならないかもしれません。
10年経っていなくても外壁塗装をすべきタイミングや判断基準
外壁塗装を10年後に行わないといけないというのはあくまでも目安です。個別の住宅で見れば、多少前後するでしょう。外壁塗装をすべきタイミングですが、外壁に劣化の兆候が見られた時です。では具体的に劣化するとどのような症状がみられるのか、以下にまとめましたので自宅の外壁塗装を進めるべきかの参考にしてください。
- チョーキング現象が起きている
- 外壁にひび割れが目立っている
- 青もしくは黒く変色している
- コーキング材の剥がれ
- 天井などにシミができている
- 外壁の表面が凸凹している
チョーキング現象が起きている
外壁を指でまずはなぞってみましょう。するとチョークが指に付着したときのように白い粉が付きませんか?これをチョーキング現象といいます。塗料は色を構成する顔料や外壁の保護などの機能がある合成樹脂、外壁に塗りやすくするための添加剤などで作られています。チョーキング現象は合成樹脂が分解され、顔料がむき出しになっている状況になっていることを示しています。合成樹脂が従来の機能を果たせなくなっているので外壁を十分保護できなくなっているので、塗りなおしが必要です。
チョーキング現象がどのくらいのタイミングで起きるかは使われている塗料や環境にもよりますが、大体5~8年経過したところで発生するケースが多くなっています。指で触ると塗膜がはがれるチョーキング現象ですが、触らなくても雨や風でも簡単にはがれてしまいます。
外壁にひび割れが目立っている
外壁にひび割れのような症状が起きていれば、外壁塗装のタイミングがそろそろ近づいていると考えてください。ただし多少のひび割れであれば、すぐに塗装をする必要はありません。ただし幅が0.5mm以上あれば、早く外壁塗装を業者に依頼すべきタイミングと考えるべきです。ひび割れが起きているということは、そのひびから水分が建物内部に侵入するリスクがあるということです。
中には早い段階で、このひび割れの発生する事例も稀にあります。例えば塗装から2~3年程度しか経過していない場合でも起こりうることです。業者の過失によることが原因です。適当に塗装業者を選ぶと、このようにすぐにひび割れが発生するので実績のある業者に依頼するように心がけましょう。
青もしくは黒く変色している
外壁が青から緑色もしくは黒く変色しているようであれば、外壁塗装の時期が迫っていると考えるべきです。外壁の色が変色しているのは、カビや藻が発生しているからです。カビや藻が目立つようになるのは、塗膜の防水性や耐久性の低下している証拠と考えられます。見た目が悪いのはもちろんのこと、カビなどは根を張りますので長期間そのままにしているとなかなか落ちない頑固な汚れになりえます。
ちなみにカビや藻の発生は住環境などそのほかの要因でも起こりうることです。まず窯業系サイディングの外壁材を使っている、近隣に大きな林や森がある、日陰のできやすい場所だと藻やカビが生えやすいので注意が必要です。早ければ、外壁塗装をして5年程度でカビや藻が目立つことも十分あり得ます。
カビや藻が発生している外壁の場合、高圧洗浄でカビや藻を除去してから作業を進めることになります。しかしカビがしっかり根をおろしてしまっているのでは、高圧洗浄だけでは不十分なケースもあり得ます。場合によってはバイオ洗浄が必要になるかもしれません。カビや藻の除去が不完全だと、外壁塗装しても塗膜がすぐにはがれてしまうこともあり得ます。
コーキング材の剥がれ
コーキング材に剥がれが生じてきているのであれば、外壁塗装のタイミングと考えましょう。コーキング材はサイディングボードの隙間を埋めたり、ガラスサッシや窓枠などに使われたりするゴム状のものです。ゴムで作られているので長年使い続けていると伸縮性が失われ、硬くなったり剥がれたりします。
もともとコーキング材には外壁などの隙間を埋めて、雨水や結露の侵入を妨げる目的があります。このコーキング材が劣化すれば、雨水などが建物内部に侵入してしまいます。大体コーキング材の寿命は5~10年が目安といわれています。コーキング材が劣化しているのであれば、コーキングを打ち増す、もしくは打ち換えをします。このタイミングで外壁塗装も塗りなおすと一気に作業をセットで進められます。
天井などにシミができている
天井を見上げてみましょう。変色している箇所がある、シミが見られるようであれば、それは雨漏りによるものです。雨漏りは屋根が原因と思っている人も多いのですが、外壁の劣化で発生することもあります。そのままにしていると台風などまとまった雨の降った時にさらに症状の悪化する危険性があります。なぜ雨漏りが起きているのか、速やかに専門の業者を呼んで点検をお願いしたほうがいいでしょう。もし外壁に問題が生じているようであれば、外壁塗装などの必要な対策を講じてください。
外壁の表面が凸凹している
外壁の表面に凹凸が見られる場合には、外壁塗装をやったほうがいいタイミングといえます。外壁表面の塗装がはがれつつあると考えられるからです。このような状況になっているのであれば、外壁塗装業者を呼んで、再塗装の依頼をしたほうがいいでしょう。
10年は早すぎる?外壁塗装の寿命を延ばす方法
外壁塗装を10年ごとに行うと費用がちょっと…と思う人もいるでしょう。外壁塗装の寿命は工夫次第で伸ばすことも可能です。以下で外壁塗装の寿命を延ばすための工夫についていくつかピックアップしました。外壁塗装の寿命を延ばせれば、塗装の頻度を少なくでき、塗装に関するコストを圧縮できます。
- 塗料の種類を検討する
- 定期的に外壁塗装を洗浄する
- コーキングの補修を行う
塗料の種類を検討する
外壁塗装の塗料によって、耐久年数は変わってきます。耐久年数の高い塗料を使用することで、外壁塗装の頻度を減らすことが可能です。よく外壁によく使われる塗料として、ウレタンやシリコンが挙げられます。ウレタンは5~7年、シリコンで7~10年で寿命を迎えるといわれています。
一方ピュアアクリルやフッ素、無機塗料と呼ばれる種類は一般的に少なくても15年以上は持つといわれています。このような塗料を使って外壁塗装の施工をお願いするのも一考です。ただしこれらの耐久性に優れた塗料は高額になりがちです。長期的に見た場合、安価なシリコンやウレタン塗料を使って繰り返し外壁塗装するのと比較してトータルの費用はどちらが安いのかも比較しましょう。
定期的に外壁塗装を洗浄する
外壁はずっと紫外線や雨風にさらされています。このため時間の経過とともに徐々に汚れていきます。この汚れは、塗料の劣化のスピードを速めてしまう要因の一つです。言い換えれば、定期的に外壁を洗浄してできるだけきれいな状態を保つと劣化のペースを遅らせることができるわけです。特に沿岸地域に在住の方は、海に含まれる塩分が外壁に付着しやすいのです。塩分は外壁に悪影響を与えるので、こまめに洗浄しましょう。
洗浄方法ですが、柔らかい布もしくはスポンジで軽くこすって流水で洗い流すだけでOKです。「しっかり洗浄しないと」と思って、硬いブラシなどでごしごしこすってしまうと逆に塗装を傷つけ劣化を進める要因になりかねません。高所の外壁の洗浄は自分でやろうとすると危険です。業者にお願いするのが無難といえます。
コーキングの補修を行う
コーキングは長年使い続けると劣化することは別項で紹介しました。もしコーキングが劣化すると防水性が失われ、建物内部の雨水の侵入が起こりやすくなります。コーキングの状態をこまめにチェックし、劣化が起きていればこまめに補修を行いましょう。そうすれば、外壁塗装の寿命を延ばすことができます。ひび割れや剥離、破断のような異常が起きているのであれば、速やかな補修がおすすめです。
まとめ
外壁塗装はただ単に見た目だけでなく、外壁を保護するために重要な役割を担っています。しかし塗料は長年使い続けると、どうしても劣化が進みます。建物の強度を維持するためにも、外壁塗装は定期的に塗りなおすことが大事です。
外壁塗装は一般的に10年が目安といわれていますが、住環境などによってはもっと早く外壁塗装の塗りなおしが必要になる場合もあり得ます。ここで紹介した劣化のサインが現れているようであれば、速やかに塗装業者に作業を依頼しましょう。