外壁塗装工事の提案書とは?施工部位・工法・計画図などを提案してもらえる

外壁塗装工事の提案書とは?施工部位・工法・計画図などを提案してもらえる

新築の時は奇麗だった家も、何年か住むうちにだんだん外壁に汚れが出てきたり、壁にひびが入ったりといった細かな問題点が見つかってくるようになります。そして、外壁塗装工事のメンテナンスの時期を迎えます。

この記事では、これから外壁塗装工事を行おうと思っている人に向けて、外壁塗装工事の提案書を中心に紹介していきます。

外壁塗装工事の提案書とは?

外壁塗装工事の提案書は、リフォーム時に使用する材料や塗装の色合いや工事の規模の詳細や、各項目でかかる工賃の金額などが細かく記されています。

現地調査や打ち合わせ後に、業者から依頼主に出される書類です。もし提案された内容に納得がいかない場合は、作り直してもらうようにしてください。

なぜ提案書が大切かというと、提案書の見積もり通りに工事が行われ、最終の支払いまで直結する一番初めの書類のため、全ての工程の基本となる書類だからです。

提案書は、仕様書と同じ様式の書類で、同時に完成後のイメージを想像するための書類でもあります。そのため、外壁塗装の工事に関わるあらゆる事項が記載されており、あらかじめどんなイメージで仕上げたいかという要望を業者に伝えておくことで、それに見合った提案書を何パターンか示してもらえることが多いです。

外壁塗装工事の提案書内容例

では、具体的に外壁塗装工事の提案書の内容の例を見ていきましょう。以下の4項目のポイントを押さえ、外壁塗装工事を依頼する際の一助にしてください。

  1. 施工範囲
  2. 塗装・防水の工法
  3. 塗料の名称・色・容量
  4. 仮設計画図

施工範囲

どのような範囲で工事を考えているかを、まず明らかにしておくことはとても大切です。外壁全部の工事を行うのか、一部のみ行うのかによっても、見積もりが随分変わってくるので、範囲を綿密に打ち合わせしておく必要があります。

一般的な外壁塗装の範囲はとても広く、雨樋・雨戸・軒天・破風・鼻隠しはもちろんのこと、必要に応じて、ベランダの床や手すり、エアコンの室外機なども希望があれば塗装してもらえるため、依頼したい場合は、業者に相談するようにしてください。

塗装・防水の工法

それぞれの過程での工法によっても、見積もりの金額が変わってきます。そのため、あらかじめどのような工法で行うかを業者に詳しく聞き、それが提案書に反映されているかを確認しておくことも大切です。

外壁塗装工事では、仕上がりによるイメージ違いなどのトラブルも多いため、防止するためにも必ず確認するようにしてください。特に、色や塗り方などでのニュアンスの違いから大きなトラブルに発展することも多いため、必ず試し塗りをしてもらうことも大切なポイントです。

外壁塗装と防水工事を同時に行うことで、以下の3つのメリットがあります。

雨漏りの被害を防げる

ベランダや屋上の防水層が劣化し、その隙間から雨水が侵入することで、建物の内部にまで雨水が入り込み、甚大な被害が起こります。より大規模な工事が必要になることも考えられます。

外壁塗装工事のタイミングに合わせて、ベランダや屋上の防水工事を併せて行うことで、雨漏りの被害を防げる可能性がより高くなります。

メンテナンスが一度で済む

外壁塗装工事・屋根塗装工事・ベランダなどの防水工事を同じタイミングで行うことで、ほぼ10年周期でやってくるメンテナンスの時期や費用の計画を立てやすくなり、定期的な一斉メンテナンスを行うことが出来ます。

アフターフォローがスムーズ

外壁塗装工事や屋根塗装工事、防水工事を同じ業者または同じタイミングで行うことで、アフターフォローがスムーズになります。

もしも雨漏りなどの不具合が生じたとき、どの部分が原因かの特定をスムーズに行うことができて、すぐに修理してもらうことが可能です。

塗料の名称・色・容量

提案書に、塗料の名称や色、使用する量の記載があるかも確認しておくべきポイントです。

塗料にも様々な種類があるため、メーカーのホームページなどで、金額や塗料の種類などについて確認書を基に調べておくのも、工事終了後のイメージを鮮明にするための一助になります。

仮設計画図

仮設計画図とは、飛散防止のためのネットや足場などの工事を行う際に設置したり組み立てたりする仮設工事を行う時に作成する設計図のことです。

仮設設計図を作成することで現場の環境を把握し、より正確に仮設用の資材などの設置を行えるよう、あらかじめ作成しておく図面です。

この仮説計画図が無い場合は、業者に問い合わせるようにしてください。

提案書には現地調査報告書も含む

業者が現場に赴き、施工に必要な資料や情報収集のために現地に行って行う調査のことです。

現地調査を行うことで、工事の範囲や規模、工法、塗料の容量などの詳細を算出することが可能です。

建物概要・調査概要

建物概要 構造や規模 どのような構造で何階建てかなど
調査概要 調査目的 どのような原因があり、工事を行うかなどの目的
調査内容 どの部分を調査したか
調査方法 どのような方法で調査を行ったか
調査年月日 調査を行った日の日付
立会者 立ち会った人の名前
調査者 会社名と調査を行った人の名前を全員記載

屋根・屋上・外壁などの現場写真

調査を行った日時に写した写真が現状の写真として添えられているかも、とても大切なポイントです。

様々な角度から対象となる部分が写っている写真が複数枚添付されているか、各部分についての症状や対策の説明があったかなどもチェックすべき点です。

調査の結果

調査した結果についての「総合所見」も提案書には必要な項目です。各部分の劣化度の判定をA~Dで行い、どのような部分が劣化しているか、またどのような対応を取ると奇麗に修理できるかなど、説明されているかが重要なポイントです。

劣化度判定基準

判定度 状況
A 比較的良好な状態
B 経年による部分的な劣化が見られ、修繕が必要な状態
C 劣化が進行しており、修繕する必要がある時期に来ている状態
D 著しい劣化範囲が部分的に見られるため、早急に修繕を行う必要がある状態

知っておきたい外壁塗装提案の注意点

ここからは、外壁塗装を行う時に、知っておきたい注意点について紹介します。何といっても、打ち合わせを綿密に行ってくれる業者に依頼する方が安心できますし、依頼者の要望を親身に受け止めてくれる業者でないと、要らぬトラブルの原因になりかねません。

以下の6つのポイントについて理解し、実際に外壁塗装の工事の依頼をするときに役立ててください。

  1. パターン別の提案書を作ってもらえるか
  2. 提案時に見積書も提出されるか
  3. 提案時に現地調査報告書も提出されるか
  4. 提案時に工事工程書も提出されるか
  5. 提案時に使用する塗料のカタログや資料も提出されるか
  6. 提案時にカラーシミュレーションも提出されるか

パターン別の提案書を作ってもらえるか

塗装方法や塗装料の種類、塗装する規模などによって、工賃が全く変わってきます。そのため、様々なパターンに応じた見積もりを何種類も作成してくれる業者かどうかは、業者を見極めるうえで、とても大切なポイントになります。

もし、1パターンしか見積もってもらえなかった場合は、業者に依頼してみてください。快く引き受けてくれる場合は良いですが、嫌な素振りを見せる業者の場合は、注意した方が良いかもしれません。

提案時に見積書も提出されるか

提案書が提出されると同時に、見積書を併せて提出してもらえるかも重要なポイントです。ただし、見積書は業者によって書き方が全く違うため、わからないことがあればすぐ質問するようにしてください。

では、良い見積書かどうかを見分けるには、どのような点に注意すればよいのでしょう?

塗料メーカーと商品名の記載があるか

「シリコン塗料」というように、大まかな記載がされているのではなく、はっきりと塗料メーカーの名前と商品名が示されているかをチェックしてください。

「シリコン塗料」であっても、メーカーが違えば商品が全く変わりグレードも異なるため、それだけで単価が大幅に違ってしまいます。

塗料の缶の使用数

見積書に、使用する予定の塗料缶の数が明確に記載されているかも大切なポイントです。

メーカーが指定している「基準塗布量」に沿って見積もられているかを必ず確認しておく必要があります。この「基準塗布量」は、その塗料を面積当たりどれだけ塗れば、効果が最大限に発揮されるかという量で、この分量が少なければ、施工不良になってしまいます。

塗装面積(塗布面積)の根拠

見積書に「坪数」で記載がある場合は、要注意です。坪数は、床面積のことで外壁の面積を表している単位ではありません。

また、複数の業者で見積もりを提出してもらったら気づくことですが、塗装面積の数字に違いがあると思います。なぜ塗装面積がその数字になっているかの根拠を必ず確認し、正しい塗装面積をしっかり把握しておくようにしてください。

「一式」という表記があるか否か

見積書を見た時に、「〇〇工事一式」という表記を見たことがある方もいるでしょう。この「一式」という言葉には、色々なものが含まれているため、あらかじめどの範囲を一式と表しているかの確認をしておく必要があります。

後になって、この工事は一式に含まれていないと言われてしまうこともあります。そうなってからでは、追加の工賃を支払わないと思うような工事をしてもらえなくなってしまうので、十分注意をするようにしてください。

提案時に現地調査報告書も提出されるか

業者に提案書を提出してもらう時に、併せて現地調査報告書の添付があるかも大切なポイントです。

現地調査報告書は、現場を専門家が見てどのような所に傷みがあるか、詳細を報告するものです。工事を行うにはどれくらいの費用が掛かるか、「現地調査報告書」と「見積書」を見ながら内容を確認するため、併せて提出してもらう必要があります。

提案時に工事工程書も提出されるか

工事工程書とは、業者から工事にかかる前に提出される書類です。どの部分にどれくらいの日数をかけて外壁塗装を行っていくかの流れが詳細に記載された、いわゆる工事のスケジュール表のことです。

以下では、一般的な外壁塗装工事の流れを簡単に紹介します。

近隣挨拶

工事前に、近隣の人たちに外壁の塗装工事を行う旨をあらかじめ伝えておくことで、トラブルを回避することが出来ます。多くの業者が近隣挨拶を行ってくれると思いますが、その時に一緒に挨拶に回ることで、要らぬトラブルを避けることが出来ます。

現場確認後、足場設置

順調に足場を立てていけるよう、足場を設置する前に現場を確認します。確認時、障害になりそうな物は全て動かし、足場を組めるように段取りを組みます。

この時、業者が勝手に動かしてしまうと後々のトラブルになりかねないため、施主も立ち会う必要があります。

足場を設置する

足場を組み立てるのは、国家資格を持った専門の業者になります。そのため、塗装業者が外注委託を行っていることが多く、塗装業者以外の業者が足場の組み立てと撤去の時は出入りすることになります。

高圧洗浄

外壁に付着した埃や汚れ、苔や剝がれかけた塗料の膜などを取り除くために高圧洗浄が行われます。

もし汚れが残ったまま塗装を行ってしまうと、せっかく新しく塗装した塗料が剥がれ落ちてしまうことがあるため、特に時間をかけ丁寧に行われる作業です。

下地処理

下地処理は、外壁塗装工事の中でも特に重要な工程で、ひび割れやサビなどの劣化部分を補修する工事のことです。

下地処理が確実にできていない場合、上からいくら塗装を行っても奇麗に仕上がらないばかりか、すぐに劣化症状が現れてしまうことが多くなります。

養生

養生とは、塗装しない部分を養生シートで覆うことで、作業を行わない部分に塗料や汚れなどが付かないようにするための工程のことです。

外壁工事を行っている間に開けたい窓があったり、エアコンを使いたい部屋がある場合は、前もって業者に伝えておくと要望に沿った形で養生してもらえます。

ただし、工程によっては要望通りには行かない場合もあるため、必ず業者の指示に従うようにしてください。

下塗り

外壁塗装の工程には、「下塗り」「中塗り」「上塗り」というものがあります。下塗りは、下地と中塗りや上塗りをしっかり密着させるために塗ります。

中塗り・上塗り

外壁塗装の工程の中でも仕上げの工程です。下塗りが終了後、乾燥させる期間を数日とった上で中塗りの作業が行われます。

下塗りの塗装をしっかり乾かすことで中塗りの塗料が奇麗に乗り、またその塗料をしっかり乾燥させることで上塗りの塗装が奇麗に仕上がります。

使用される塗料のメーカーごとに乾燥時間は決まっているため、どの工程でどのメーカーの塗料を用いるかで、各工程の乾燥期間に違いが出てきます。

完了時の検査

全ての工程が終了したら、最終チェックを行います。仕上げの状態の確認や塗り残しはないか、周囲や養生したはずの部分に塗料が飛んでしまったりしていないかなどの確認を細かく行っていきます。

完了検査には、依頼主も立ち会う必要があるため、業者の説明を聞きながら、一緒にチェックしてください。

気になる部分がある場合には、その時に必ず伝えることで手直しが必要ならすぐに対応してもらうことが可能です。

足場の解体

完了検査で修正する部分が無かった場合や、手直しも完了したら足場が解体されます。その後、塗装業者が道具などを片付け終わったら、外壁塗装工事の全ての工程が終了します。

もし、保証書などの書類が発行される場合は、必ず受け取るようにしてください。

提案時に使用する塗料のカタログや資料も提出されるか

見積書に記載されているメーカーや、塗料の詳細がわかるカタログ、資料を提出してもらえるかも大切なポイントです。

メーカーや素材によって必要な缶数が変わってくるため、見積もりと照らし合わせながら説明を受けることをおすすめします。

提案時にカラーシミュレーションも提出されるか

より丁寧な業者の場合は、提案時にカラーシミュレーションを行ってもらえることもあります。カラーシミュレーションは、屋根と外壁の色のイメージを明確にするのにとても役立ちます。

頭の中でイメージしていても、実際塗ってみたら全くイメージが違ったということは避けたいでしょう。そうならないためにも、カラーシミュレーションの提出が無い場合は、業者にお願いしてみるようにしてください。

カラーシミュレーションは、別資料での用意ではなく提案書内に組み込まれている場合も多いため、受け取った資料は隅々まで確認するようにしてください。

まとめ

この記事では、外壁塗装工事の提案書について、様々な角度から見ていきました。

業者に提案書とあわせて、見積書・現地調査報告書・工事工程書・塗料のカタログや資料・カラーシミュレーションの提示があるかどうかが大切なポイントでした。

どれか一点でも足りなかったり、疑問点が少しでもあったりする場合は、納得いくまで業者に質問してください。うやむやなまま工事が開始してしまわないようにすることは、その後のトラブルを防ぐ上でとても重要なことです。

是非、今回ご紹介した様々なポイントに気を配り、外壁塗装工事をより良いものにしてくださいね。