破風板の塗装が必要な理由とは?注意点や手順を知ろう!

破風板の塗装が必要な理由とは?注意点や手順を知ろう!

破風板について

破風板は「はふいた」と呼びます。破風は英語で「Gables」と表記し、切妻(きりつま)屋根という意味があります。

切妻屋根は山型で本を半分に広げたような形です。

お城にも取り入れられており、装飾が施されることもありましたが、現在の戸建てでは屋根や壁の色に合わせたシンプルなものが一般的です。

破風は三角屋根の先端面に取り付けられる部材のことで、屋根と同じく山の形をしています。破風板は破風を隠す板のことです。風を破るという名前の通り、雨風の侵入を防いでいます。

また、建物火災の時には屋根裏への延焼を遅らせる役割も持っています。建物の構造で非常に重要な部分です。

破風板の塗装が剥がれたり、劣化が進行すると本来の機能が発揮できず、雨漏りなどの原因になります。

破風板の役割を把握し、メンテナンスの方法や時期を知ることが大切です。

破風板の塗装が必要な理由

破風板は屋根や外壁などと同様に気候や土地環境の影響を強く受ける箇所です。

最近は耐久性・耐火性の観点からガルバリウム鋼板などのメッキや、不燃性素材を新築に採用する場合もありますが、現状の建物では木材が圧倒的に使用されています。

破風板は表面が塗装され、出来上がった塗膜が劣化から守っています。塗料は使用する建材によって相性のいい組み合わせを選ぶ必要があります。

塗装なしのままでは撥水機能がないためダイレクトに建材が傷んでしまいます。

破風板の劣化を防ぐには?

破風板はダイレクトに雨風や紫外線を受けるため劣化しやすい部分です。
破風板には塗装が施されていますが、その塗装にも耐用年数があります。

塗装の防水機能が低下すると板が水分を吸い込み建物全体へ影響が波及します。
劣化を防ぐために定期的なメンテナンスが必要です。

破風板の劣化を放置すると?

破風板の塗装剥がれや色褪せなどの劣化を放置していると、板が膨張収縮を繰り返し歪みを発生させます。

そうなると歪みで生まれた隙間から屋根裏に水が流れ込み雨漏りの原因になります。
変形した破風板は交換しなければならないので、工事費用が何倍もかかってしまいます。

シミや剥がれ、浮きなどを目視できる場合はすでに劣化が始まっていますので専門業者に点検してもらうことをお勧めします。

破風板の劣化は目立ちやすい?

破風板は建物の顔になる部分にある為、劣化がとても目立ちます。年月とともに必ず点検修理が必要になるので覚えておきましょう。修繕後に塗装するとその部分が凹凸になる場合があります。

塗装だけなら費用が抑えられるだけでなく、破風板の寿命を延ばし、美観を保つことができます。

破風板の種類は?

破風板には主に次のような種類があります。

木材の破風板

木材の破風板は主に杉が使われています。古い日本家屋の大半が木材です。
ただし木は、水分を含むと膨張縮小を繰り返し、歪みをや反り引き起こすというデメリットがあります。

劣化が早いので長持ちさせるためには塗装が需要です。メンテナンス頻度も多くなります。

金属系の破風板

破風板に使用される金属系素材はガルバリウム鋼板が圧倒的に多いです。
木材よりも耐久性や防水性、耐火性がり、簡単に加工できるため優秀な素材です。

金属ですので錆に注意が必要です。破風板にする際は木製の下地にガルバリウム銅板を巻き付けて塗装して仕上げます。

窯業(ようぎょう)系の破風板

窯業(ようぎょう)系の破風板は、外壁にも使用するセメントやセラミックスなどの素材を使用した複合材を指します。

高温の窯で熱処理を施すので、耐火性にとても特化していますが、非金属のため水分を吸ってしまいます。

この点は定期的な塗装でフォローできます。様々な色やデザインがあり、建物の外観に合わせて選ぶことができます。

ケイカル材の破風板

ケイ酸カルシウムで作られた素材の事を業界ではケイカルと略して呼んでいます。
見積書などにもケイカルと書かれています。安価に作ることができ、腐りにくい素材です。

ケイカルはもともとが粉なので、圧縮し、セメント系圧縮材として使用しています。
そのため劣化が目立ち始めるとボロボロ剥がれてきます。

数年ごとに業者に点検してもらい、気になる箇所が見つかれば早めに対処してもらいましょう。

モルタルの破風板

見た目に高級感のでるモルタル素材ですが、近年は使用されることがなくなってきました。
一般的なモルタルの材料はセメントと水、砂を混ぜ合わせて作られています。

建物がモルタル外壁の場合には破風板もモルタルを採用することで統一感が出ます。
下地の上からモルタルを塗って仕上げています。

破風板(はふいた)と鼻隠し(はなかくし)は同じ?

破風板(はふいた)と鼻隠し(はなかくし)は、建物の屋根部分で使われる部材ですが、異なるものです。
破風板は、屋根の先端部分に設置され、雨樋がついていません。

一方、鼻隠しは、屋根の側面の軒先に設置され雨樋がついています。このように、破風板と鼻隠しは形状や設置場所も全く異なるものです。

しかし、役割としてはほぼ同じで、雨風や紫外線の影響から外壁や屋根を守っています。下から吹き上げてくるような強い風を分散してくれる効果があります。

商業ビルや学校などでよくみかける陸屋根には破風板も鼻隠しもありません。

破風板があるのは切妻屋根だけ?

破風板があるのは切妻屋根の形状だけではありません。勾配が付けられた屋根にはほとんど存在しています。

片流れ屋根、差しかけ屋根、のこぎり屋根、招き屋根、M型屋根などにも見られます。
これらの屋根以外にも、屋根の形状によっては破風板が設けられている場合があります。

ご自身の建物の屋根の形状を知ることで必要なメンテナンスも把握できます。

破風板塗装のメンテナンス方法と手順

破風板のメンテナンス方法

破風板のメンテナンス方法は傷みの度合いによって施工内容が変わってきます。

定期的な塗装

破風板の塗装が剥がれている場合や、色あせが目立ってきた際は再塗装が必要です。
塗料の劣化が進むと傷んだ箇所から下地に水分が染みこんでしまい雨漏りの原因にもなります。

内部を腐食させてしまうと一部やすべてを取り換えなければならなくなるので費用がかさみます。

再塗装は傷み具合で作業工程が変わってきます。塗膜が少し剥がれているような緊急性の低い場合には、塗装で済みます。

まめに行い、建物を長持ちさせるのが理想です。

金属巻き

塗膜がかなり剥がれているものの、木材下地が無事という中程度の場合はガルバリウム鋼板でカバーする工法を提案されます。

金属巻きとも言います。塗装よりも費用はかかりますが、既存の破風板を活用でき、耐久性・耐火性も上がるのでおすすめです。

破風板の寿命を延ばすための有効な方法です。

破風板の交換

破風板の損傷が激しい場合は落下する危険があり、緊急性が高く速やかに交換が必要です。

内部も腐食しているため再利用できません。無事な部分を除き一部交換にするか、全交換にするかは専門業者の判断になります。

破風板がそこまで劣化しているということは鼻隠しや屋根そのものも修繕や交換が必要になる可能性があります。

破風板の塗装の手順とは

破風板を塗装する際には以下のような手順で行います。

  1. 高圧洗浄
  2. ケレン作業
  3. シーリング(コーキング)作業
  4. 下塗り
  5. 塗装

1.高圧洗浄

屋根と破風板の修繕塗装を同時に行う場合はまず高圧洗浄で屋根のコケやカビを落とします。砂埃や花粉、飛んできた種子なども一緒に洗い流します。

少しでも汚れが残っているとそこから塗膜が浮いて剥がれるので丁寧に行わなければならない作業です。

2.ケレン作業

古い塗膜を取り除く作業をケレン作業と言います。剥がれや浮きのある凸凹の破風板の表面を削って平らにします。

不要な塗膜や汚れを落とし、塗料の密着性を上げることができます。

破風板の状況により、ナイロンたわしや、サンドペーパー、皮すき、スクレーパー、ワイヤーブラシ、電動式のサンダーなど職人の経験と技術に基づいて使い分けます。

主な目的は古い塗膜を取り除くことですが、鉄部分の錆落としや、高圧洗浄でも落ちない汚れを取り除くことも含まれています。

とても地道で手間のかかる作業ですが、仕上がりに影響するので慎重に行います。

3.シーリング(コーキング)作業

シーリング作業とは目地の補修(継ぎ目の補修)です。劣化してしまったシーリング剤は手で簡単に剥がれてしまうほど脆くなっています。

継ぎ目の修繕をせずに塗装に進んでしまうと、結局水が入り込み内部を傷めてしまいます。
カッターなどで丁寧に取り除き、塗装する色に合わせたシーリング剤で埋めていきます。

また、塗装を行う場所以外の周辺ををマスキングテープなどで保護し、塗料が付着しないようにします。

4.下塗り

下準備が出来たら下塗り工程に入ります。まず、破風板の素材に適した強化用下塗剤(シーラー)を塗ります。

シーラーを塗らないと、仕上がりにムラが発生したり、上塗り素材がダイレクトに破風板に吸い込まれてしまい、耐久性がガタ落ちしてしまいます。

5.塗装

次に1回目の塗装、中塗りを行います。この段階から着色が入ります。中塗りを行うことで耐久性が増し上塗りが美しくなります。十分乾燥させた後に2回目の塗装、上塗りを行います。

素材によっては塗る回数が3回に分かれる場合もあります。細部はハケ、広い面はローラーを使用し丁寧に塗ります。職人の腕の見せ所です。

金属系破風板を塗装する際は錆止めを塗ってから、専用の下塗り材で塗装を行います。 錆止めを塗らずに塗装工程を始めてしまうと耐久性を落とす原因になります。

破風板を塗装する際の注意点

下地処理を行なってから

高圧洗浄やケレン作業、下塗りなどの下地処理はとても重要な工程です。この作業が疎かになると、当然仕上がりはムラができ、塗料既定の耐用年数よりも早く劣化が進みます。どの工程も欠かせません。

素材に合った塗料を使用

破風板には様々な種類があることを説明しましたが、素材により塗料との相性が異なるので注意しましょう。

屋根よりも目立つ部分ですので素材選びは専門業者にお任せしましょう。

塗料の色は?

破風板を塗り替える際にはどのような色を選べばいいのでしょうか?やはり、基本は屋根や外壁の色に合わせることです。

破風板部分だけが目立ってしまうような色は避け、建物全体に統一感が出るようにしましょう。

清潔感があり明るい白ですが、破風板にはあまり適しません。汚れがとても目立つからです。
外壁が白の場合は屋根の色に合わせることをおすすめします。

建物の形状によっても合う色味が変わってきます。ナチュラル、クラシック、モダン、ポップなどさまざまなパターンがあるので、よく相談して決めましょう。

破風板をまるごと交換する場合

劣化が酷く内部の腐食が進行している場合は、破風板をまるごと交換します。腐食した木材は釘が利かなくなっています。

表面の釘を抜き、屋根や軒天井を傷つけないように慎重に外していきます。現在は木材ではない素材への交換が一般的です。

瓦屋根の傷んだ破風板はその重さを支えきれず、瓦が落ちてくる危険性もあるので早急に工事を依頼しましょう。

DIYは危険!

DIYでの作業は危険を伴うためお勧めできません。破風板は高所にあり足場が必要です。プロでも転落することがあります。

命にかかわりますので専門業者に任せましょう。また、破風板の素材で塗料が異なる為、間違えることができません。

劣化の度合いにより必要な作業工程も変わってきます。仮にその場ではうまくいったと思ってもすぐに塗料が浮いて来たり自己判断せずに相談しましょう。

破風板塗装の費用相場

破風板の塗装を見積もってもらう際は金額だけで判断せず、塗り回数に注目しましょう。

下塗り、中塗り、上塗りは必ず必要な工程です。特に「西日」など強い日が当たる向きに破風板がある場合はより、耐久性を高めるために3回塗りをしてくれる業者を選びましょう。

破風板塗装の単価相場(円/m)は3回塗りで800~2,000円ほどと言われています。これには下地処理費用や塗装費用が含まれていますが、足場費用や、洗浄養生費用は含まれていませんので注意して下さい。

業者によっては塗る面積に関わらず一律の金額(破風塗装単体25,000~など)を設定している場合もあります。

足場設置が必要な外壁塗装や屋根修繕と併せて行うことで費用を抑えられます。
破風板が傷んでいる場合は建物全体の点検も行ってもらいましょう。

破風板の板金カバー工法の費用相場

板金カバー工法は既存の下地木材を塗装するのではなくガルバリウム鋼板を巻きつけて耐久性や耐火性を高める方法です。

破風板を単体で修繕する場合はこの施工法が一番よく行われています。一度取り付けてしまえば約20年は持ち、とても優秀な素材ですが、その分費用は割高になります。単価相場(円/m)は3,000~4,000円ほどです。

破風板交換の費用相場

破風板を丸ごと交換する場合は技術と費用が一番かかります。交換する面積や素材、屋根の形状に合わせて下地材や破風板を用意するため高価になります。

また、建物の構造や耐震性能への影響も考慮する必要があります。
施工方法を選定する際には、構造上の問題がないか、専門業者による診断が必要です。

相場費用は足場代を含め30万~35万前後です。加えて処分費用などももかかります。
その為、単体工事ではなく、建物全体のリフォームと一緒に行うことをおすすめします。

破風板を修繕する目安は?

破風板の修繕タイミングとして最も望ましいのは建物全体のリフォームを考えている時でしょう。
部分的な工事を繰り返し行うと、足場代などの費用が都度かかってしまい損です。

定期的なメンテナンスサイクルを作ることが望ましいと言えます。ですが、破風板にヒビがあったり、割れや穴がある場合はすぐに修理する必要があります。損傷を放置していると、建物全体のの構造に損傷を与えてしまいます。

特に日差しがよく当たる面の破風板は注意しておきましょう。
見た目が色褪せてきたな…と感じたら点検のタイミングかもしれません。

火災保険が適応される場合は?

台風や大雪、雷、雹など自然災害による建物被害は火災保険が適用される場合があります。

火災保険は=火事で家が燃えた時の補償とイメージしがちですが、契約時にさまざまなシーンを選択できます。

大雨での雨漏り、突風による屋根の一部破損なども保険がおります。破風板も同様で、保険会社の調査で適用可能と判断されれば申請できます。
条件や必要書類は保険会社によって異なりますので必ず確認が必要です。

エコリフォームで助成金を活用できる?

エコリフォーム事業は、住宅の省エネルギー化やCO2削減を促進するため政府が推進している支援制度です。

破風板が損傷している場合、風雨によって雨水や湿気が壁内に入り込む恐れがあります。結果的に建物の断熱性能が低下し、冷暖房効率の悪化につながることがあります。
そのため、エコリフォーム事業の中で、破風板の修理代が一部助成される可能性があります。

火災保険同様、事後申請ができないので注意しましょう。都道府県によって対象や事業内容が違うので、施工業者に事前に確認する必要があります。

助成金の申請期間や申請方法については自治体の公式サイトに詳細が記載されていますので必要な情報を収集しておくことが重要です。

多少の手間はかかりますが、省エネや環境保全に貢献しつつ、工事費用の削減につながるのでメリットがとても多い制度です。

まとめ

破風板は、風雨や紫外線から守る重要な部分であり、放置すると、破風板が腐食したり、雨漏りの原因となったりする恐れがあります。

メンテナンスは建物全体の耐久性を保つために欠かせないものです。適切なメンテナンスを行うことで、破風板の劣化や損傷を未然に防げます。

さまざまな素材でできているため、工事を検討している破風板が何でできているのか自身で把握し、適正相場を知ることで業者との交渉も行いやすくなります。

破風板の修繕や取り換えは、外壁や屋根の塗装、防水工事など、他の修繕工事と一緒にまとめて行うことをおすすめします。

これにより、足場設置代、撤去費などの工事費用を都度請求されずに済むので、より効率的かつ経済的にメンテナンスを行うことができます。

破風板の工事は専門的な知識と技術が必要となるため、自身でのDIYなどは行わず業者に依頼し、必要な施工を適切に見極めてもらいましょう。

エコリフォーム事業など国の助成制度なども活用すればお得にリフォームできます。